本研究での現在までの研究の成果として、「科学と帝国主義」研究を通じて、従来から西欧の近代科学の、内的側面に注目が偏り勝ちであった科学史研究にたいして、その西欧近代の表裏一体となっている外側である、非西欧世界における、西欧的な知のあり方にたいしての対応や変形・適応の状況に着目し、その一端を明らかにすることが可能となるような、予備的なサーヴェイと調査、さらには今後の発展的研究のための研究体制・国際的な研究協力体制のありかたについての検討をおこなってきており、さまざまなかたちでの成果をあげてきた。なかでも、現在フランス・パリの高等学術研究所(CNRS)パトリック・プテイジャン博士およびインド・デリーのネルー大学ディーバック・クマール博士およびV.V.クリシュナ博士とは、数次に渡る交渉を重ね、将来的な研究協力体制についての中間的な合意を得ており、また研究の理論的枠組みの検討も現在進行中である。この「科学と帝国主義」研究の理論的な枠組みに関する検討結果は、日本での科学のあり方を検討した-試論として、成果の発表が本研究者によって行われている。またクマール博士とのシンポジウム・プティジャン博士とのレヴューなどが本年度にはおこなわれ、これらが成果として考えられる。さらにこれらの国際的な協力体制の上で近年の情報収集技術を駆使して、世界的なレベルでの研究進行の先端にアクセスを果たし、現況ではこれらの整理・解析を行っている。日本国内各地での研究者層からの情報収集についても精力的に展開しており、比較科学史のあり方を検討している。
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