研究概要 |
Wistar系雌ラット(6週齢)を用いて、長時間の強制走行運動負荷が骨に与える影響について、骨のマクロ形態について検討し、生化学的な変化と。 対象のラットを運動負荷群と安静群にわけ、運動負荷群には小動物用トレッドミル(夏目製作所,KN-73)による強制走行を課した。走行速度は30m/分から開始し、次第に速度を上げて60m/分まで到達させた。運動負荷は、負荷用トレッドミルに附属している電気刺激をもってしても走行ができなくなるまで行った。走行時間は平均66分で、1日2回、週5日間の負荷を課した。 負荷開始後4週と8週でラットを屠殺し、下腿骨(脛骨、腓骨)を摘出した。屠殺の7日前にテトラサイクリン、4日前にカルセインを腹腔内投与して骨にラベリングを施しておいた。 摘出した下腿骨を観察すると、明らかな疲労骨折は認められなかったが、運動負荷群では下腿骨が全体に増大し、過剰な力学的負荷の影響がうかがわれた。この下腿骨について骨密度を測定したところ、、運動負荷群の一部に骨密度が安静群よりも明らかに低い個体が散見された。先行実験では、卵巣摘出を行わない状態での走行負荷では、骨密度の低値はほとんど観察されなかったが、本実験ではこの様な結果が得られた。 そのメカニズムを検討するため、屠殺時に採取した血液と尿から、骨形成と骨吸収に関連する生化学マーカーを測定中である。 また、骨の微細構造の変化、石灰化速度、骨形成率などの骨形成パラメーターを計測するために、下腿骨の非脱灰硬組織薄切研磨標本を作成中である。
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