研究概要 |
本研究は加齢にともなう骨格筋の毛細血管の形態変化について明らかにすることを目的としている.さらに,高齢期のトレーニングがそれらの形態にどのような影響があるのかについて検討を加えることである.今年度は毛細血管の数や内腔の形態における加齢の影響を明らかにするために,4ヶ月齢(4mo群)および19ヶ月齢(19mo群)の雄ラットの足底筋を用いて毛細血管形態の比較を行った.その結果,毛細血管内腔の大きさには両群で差が認められなかった.毛細血管密度は4mo群(Mean±SE,1111±48mm^2),より19mo群(1377±96mm^2)群が有意に高かった.これは主に19mo群では4mo群よりも筋線維の萎縮が生じていたことによるものであった.また,16ヶ月齢のラットに20m/min,60min,5days/wkの条件で19ヶ月齢までランニングトレーニングを負荷したところ,同じ月齢のコントロールである19mo群より筋線維横断面積が有意に高値を示した.しかしながら,毛細血管数の増加は見られなかった. 以上の結果から,19ヶ月齢にあるラットでは加齢によって毛細血管形態の変化よりも筋萎縮の方が先行して起こることが示唆された.このことは,筋線維と毛細血管の加齢にともなう形態変化が必ずしも対応しないことを意味している.また,この月齢のラットの持久性トレーニングは筋萎縮を予防することが示された.
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