小学校体育科「保健領域」の授業を改善するために、平成10年度には、まずよい保健授業に影響を及ぼす要因を検討したうえで、16項目からなる保健授業の教授・学習過程評価票を仮説的に作成した。 平成11年度には、この16項目に基づき、保健授業担当教員の保健授業に対する自己効力感についての調査項目を作成し、小学校教員の保健授業に対する自己協力感の特徴を明らかにした。調査項目は、1)認識および知識・理解、2)興味・関心・意欲、3)自己学習・自主的学習、4)協力的学習の4つの要因に関する、教師の児童への授業を行う自信を問う内容で構成されている。担当教員のなかで、養護教諭と小学校教諭を比較してみると、いずれも4つの要因の中では、認識および知識・理解にかかわる自己効力感が最も高く、両群間の差も認められなかった。4つの要因について、小学校教諭の場合差が少ないが、養護教諭の場合、興味・関心・意欲、自己学習・自主的学習、協力的学習の3つは、認識および知識・理解に対して低く、またその3つの要因は、養護教諭と小学校教諭間に差が認められた。 以上のような結果に基づき、今後、仮説的に作成した保健授業の教授・学習過程評価票と担当教員の保健授業こ対する自己効力感についての調査項目の2つを用いながら、教授・学習過程評価票の使用が、担当教員の保健授業に対する力量にどう影響を及ぼしたかを吟味することになる。
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