研究概要 |
GO/NO-GO実験から子どもの大脳活動の型をパブロフの定理から、不活発型、興奮型、抑制型、おっとり型、活発型の5つの型に分け、各年齢における分布状況から子どもの大脳活動の発達を調査した。 日本では、1969年に、79年に調査を行なった結果、型の分布に大きな変化が確認された。そして、84年に中国、98年に日本の子どもの大脳活動の型の実験を行なった結果、日本の子どもの大脳活動の型の変化は、テレビの視聴時間が長いことと、遊びが動的なものから静的なものへ移行した2点があげられ、人と人とのふれ合いの減少が確認された。孤立させて生活させたサルの実験では、3ヶ月で社会適応できなくなり、6ヶ月で自分を防御できなくなり、12ヶ月で自分の手足を噛みきるという報告がなされている。また現在の小中高生のテレビ、テレビゲーム、CD、読書の時間は平均5時間弱という報告も確認されている。 今回、99年の4月から5月にかけて、中国の子どもの大脳活動の調査を幼稚園、小・中学生の計499名にて行った。その結果、不活発型は、日本の79年と類似してきており、発達の遅れが懸念されてきた。興奮型は、日本の69年と中国の84年は小学校2年生がピークとなる山型の変化を示していたが、日本の79年98年は小学校6年生、そして今回行った中国の99年は小学校3年生がピークとなる山型の推移を示し、中国もピーク時が遅くなってきていることが確認された。活発型は、また中国の99年は小学校2,3年生で減少していくという発達の逆転現象がみられた。これより、中国の大都市でも大脳活動の型の分布が遅れる方向に変わりつつあることが、確認できた。今後中国の農村では、どのような状態なのかなど国際的な調査を発展させる必要があると考えている。
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