エイズに関して理解しにくい内容や誤って認識してしまう内容などが多くみられる。成人になると教育を受ける機会も激減し、誤った知識を保有する者も少なくない。さらに、エイズに関する基礎的な知識や誤解しやすい内容などをまとめたテストの一般化、標準化は十分に行われてきていないのが現状である。今日テストを作成する時に項目反応理論が用いられることが多い。これは、テストに含まれる項目(質問)の特性を分析し、テストの困難度、識別力等に基づいてテストの標準化や等化を行い、テストを受ける者の能力や技能、知識を評価する方法である。本研究は項目反応理論を適用して、エイズに関する知識テストの標準化を行うことを目的とする。 本研究の対象は、小学校5年生から大学生である。調査の実施に先駆けて、知識テストの作成を行った。このテストは、エイズに関する知識領域として、病原体に関する領域、感染経路に関する領域、予防に関する領域、感染行動に関する領域ならびに診断治療に関する領域を設定した。また、対象となる児童・生徒の学習状況、レディネスを考慮して、質問項目数は小学生13項目、中学生27項目、高校生・大学生28項目となった。これらの知識テストを5700名を対象に調査を実施する予定であるが、学校行事との調整の結果、現在まで中学生と大学生について3410名の調査を終えており、4月に残りの調査を実施する予定である。現在、調査を終えたデータついては基礎的な解析を行っている。 知識の正答数は、中学生では1年生12.74±5.64、2年生15.15±5.44、3年生19.39±4.61、大学生では21.96±3.85となり、中学3年生と大学生の正答率の差はわずかであった。しかし、較正得点では中学3年生15.78±5.87、大学生19.30±4.87と差が大きく、中学生では誤った知識の割合が高いことが明らかとなった。
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