運動ニューロン由来栄養因子がラット横隔膜の機能、形態特性に及ぼす影響を明らかにするために、コントロール群、5日間の頚髄半切(Spinal Hemisection;SPH)群、5日間の脱神経(Denervation;DNV)群において、横隔膜のIn Vitro張力特性および筋小胞体Ca2+-ATPase活性の測定を行った。また、組織化学的染色を施し、各筋線維タイプの構成割合および平均面積を算出した。 その結果、コントロール群に比べて、収縮時間(ピーク張力までの時間)、1/2弛緩時間(ピーク張力からその半分までの時間)および筋小胞体Ca2+-ATPase活性はDNV群で有意に延長および低下したが、SPH群は変化しなかった。一方、組織化学的染色像には何の変化もなく、張力特性および筋小胞体Ca2+-ATPase活性の変化は各筋線維タイプの変化に依存していないことが示された。SPH群とDNV群における適応の違いは運動ニューロン由来の栄養因子の有無に起因すると推察された。 現在、上述の筋において免疫組織化学的処置を行い、仮想されている運動ニューロン由来の各種栄養因子の発現が起こっているか否かを検討中である。 なお、来年度は、蛍光色素の逆光性軸索輸送によってラベルされた運動ニューロンの組織化学的染色および免疫組織化学的処置を行い、当初の目的を達成する予定である。
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