サッカーのゲーム分析はコンピューターと複数のカメラを駆使した高度な分析法の開発が進められている一方で、コーチや選手が有効に使うことが出来るデータは何かを探るといったいわゆるソフト面の充実が求められてきている。本研究では、カナダのブリティッシュコロンビア大学で開発されたサッカーゲーム分析システムを用いて、コーチや選手がチーム及び個々の選手のパフォーマンスを改善するためにどのようなデータをフィードバックすることが効果的であるかについて検討している。 本年度は先ず、分析システムを用いてデータを収集するスタッフの養成を行った。約24時間程度のトレーニングよってビデオに録画されたゲームを観察しながらデータを収集することが出来るようになった。 九州大学サッカーリーグに所属するチームのコーチに分析システムから得られるデータを提示し、その使用方法について検討した。その結果、システムから得られる情報すべてをコーチが有効に利用するにはデータの量が多いと思われた。コーチが必要としているデータに絞って提示することが重要であり、そのために分析スタッフと現場スタッフのコミュニケーションが不可欠である。さらに、分析システムから得られる量的なデータに関連した映像のデータを組み合わせて提示することによってコーチの分析結果に対する理解が高まることが示唆された。 今後は分析システムによるデータの蓄積によってサッカーのゲームを評価するためのキーファクターを見つけ出していくとともに、事例を増やし、分析システムのデータのコーチ・選手への効果的なフィードバックについてさらに検討を加えていく予定である。
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