本研究は、緑内障患者が、障害を悪化させることなく行える運動プログラムを作成するための基礎的な資料を得るために、眼疾患のない晴眼者を対象として、様々な一過性運動や継続的トレーニングによって、眼圧がどのように変動するかを検討することを目的とした。 平成11年度は各種(レジスタンス系、有酸素持久系など)の一過性運動負荷によって眼圧が運動後に低下することが明らかとなった。 平成12年度は、一定期間の継続的なトレーニングが、眼圧に及ぼす影響を検討した。眼疾患のない晴眼者で定期的な運動習慣をもたない者を対象とし、トレーニング(ウェイトトレーニングマシンによるレジスタンストレーニングと自転車エルゴメータによる有酸素持久的トレーニング)を週に2回、約2ヶ月間実施させ、トレーニング期間の前、中、後における体力レベル、眼圧(安静時および運動前後)の測定を行った。その結果、トレーニングによって、対象者の筋力および有酸素持久力は増加傾向を示した。眼圧については、1回の運動後に運動前に比べて眼圧の低下がみられたが、一定時刻に測定した安静時の眼圧については、トレーニング期間を通して有意の変動はみられず、トレーニングの継続による眼圧の変動は認められなかった。 このことから、身体活動によって、その形態に関わらず、眼圧は一過性に低下することが明らかとなり、また、運動強度が高いほどその低下の度合いは大きいことが示唆された。しかし、トレーニングの継続によって眼圧の低下は認められず、長期的な影響はみられなかった。
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