研究概要 |
陸上長距離種目において痩身者ほど競技成績が優れる傾向にある.一方,女子選手の過度な痩身化は健康上の問題を惹起させ,競技力の停滞および低下を招いている場合もある.競技力向上の観点から,どの程度を目途に痩身化すべきか問題は未解決である.そこで本研究は現在までに活躍した女子長距離選手を対象に.選手のBMI(Body Mass Index)と競技記録の関係分析から競技記録が最も高くなるBMI(至適BMI)を推定し.女子長距離選手のウェイトコントロール指標の提案を行うことを目的とする. 本年度に得られた成果の概要は以下のとおりである.なお,成果(1)については高校女子選手を.成果(2)については中学女子選手を対象とした. 成果(1):3000mレース記録に対する至適BMIは.身長が高いほどBMI値が大きくなるという関係が示された.身長を考慮しないときの高校女子長距離選手の至適BMIは17.0に推定されるが,身長別に至適BMIを求めれば,一層.有効なウェイトコントロール指標が得られた. 成果(2):BMIと1500mレース記録との関係から推定される中学女子長距離選手の至適BMIは,17.3となる.しかし,両者間には有意な関係が認められず.中学女子の1500mレース記録においては体格が大きな要因とはならない.この原因としては発育発達あるいは競技距離などの問題が考えられるが.次年度の課題とする.
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