研究概要 |
本研究の目的は、資料が希薄なために実証研究が困難であったアフリカ熱帯林地域の焼畑土地利用の復原研究分野において、空中写真や衛星データなどのリモートセンシング技術を活用することによってあらたな研究の可能性を切り開こうとすることである。とくに本年度は(1)空中写真の分析による1960年代の焼畑集落分布と土地利用状況・植生状況の復原(2)地球観測衛星データ(SPOT/LANDSAT-TM)を用いた焼畑土地利用解析方法の確立、という二つの側面から研究を計画・実施した。本年度の研究実施状況と結果は以下の通りである。 (1) エチオピア地図局の提供によって入手したガンベラ州森林地域の1967年撮影の空中写真を用いて、当時の焼畑集落の空間的特性に関する分析をおこなった。とくに写真判読の基準を設定することが重要なため、代表者が長期の現地観察を続けている二つの集落に対象を絞り込み、現存植生や集落移動に関する現地調査のデータと対照させることによって,写真判読のための植生・土地利用分類基準を設定し、経年変化の復原を試みた。 (2) 衛星データの利用に関しては、1984年のLANDSAT-TMデータおよび1987年のSPOTデータを用いて、(1)と同じ対象地域において、空中写真データとの性質の違いに留意しながら、同じく植生・土地利用分類基準を設定、(1)との併用の可能性について検討した。 以上の検討結果は、本年度京都大学に提出した博士論文等の著書にまとめたほか、雑誌「エコフロンティア」にその操作概念と応用可能性について報告した。これらの成果によって、より広範囲の焼畑土地利用の動態分析を計画する次年度の研究にとって、必要な基礎が得られたと考える。
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