研究概要 |
本年度はラオスの村落位置データベースの作成に重点を置いた。日本ではGISの基礎となる数値地図情報が整備されているが、本研究で対象としている地域では未整備である。ラオス村落情報システム開発のための基礎情報として真っ先に取り組まなければならない。ラオス全土の約12,000村落について、10万分の1地形図および行政地図を用いて、その村落位置を同定する作業を行った。データベースとして入手している村落名リストは1990年代半ば、10万分の1地形図は1980年代半ば、行政地図は1990年代初頭とそれぞれ作成された年代が違うために、村落名の整合が充分に取れない地域もあり、必ずしも同定作業が順調に進んだわけではなかったが、全体で約80%の村落位置を同定することができた。同定作業が難航した地域は山間部や中央から離れた地方に多く、その理由のいくつかは、(1)村落名が変更された(2)政策的に他の位置に移された(3)標準ラオ語と少数民族の言語による村落名の呼称の違いや表記の違い、と推定されるが、現状では確認するてだてがない。 研究計画では、本年度中にラオス村落情報システムの開発を行う予定であったが、上記の村落位置の同定作業に手間取ってしまったため、まだ開発を行うことができていないが、来年度はシステムを完成させ、本研究課題の目的である農村社会動態の基礎的な分析につなげていきたい。
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