研究概要 |
本研究は中国における土地利用変化の規定要因およびそのメカニズムを,北京の事例研究から明らかにしようとしている.同時に,経済高度成長を経験してきた東京の土地利用変化と比較しながら,北京における持続的土地利用について検討する.更に,中国の大都市地域における土地利用の方向性を展望し,土地利用に密接関連する都市化・人口問題・食糧問題などの側面から土地利用の問題点を指摘する. その中間成果の一つとして,「中国における土地利用の現状とその問題点」と題して,秋田地理学会研究発表会(秋田大学,1998年10月10日)において口頭発表した.中国とくにその大都市地域において,持続的な土地利用が可能かどうかは,人口・食料・住宅・土地政策などの諸要素と複雑に関係している.「基本農田保護条例」で農地面積を維持し,「基本農田」とされる農地の転用を禁じる一方,人口の増加と都市化に伴う住宅用地や工業用地などの土地への需要は確実に増加している.農地面積の減少を食い止め食料を自給する政策を打ち出す一方,都市周辺で良質な農地が減少しつつある現実に直面している中国は,持続的発展の道を探っている. 来年度は資料の分析と補充調査となる.今までの分析を踏まえて政府の土地政策や「土地管理法」などについて分析を加えて,中国における土地利用の変化とそのメカニズムを解明したい.
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