1. 文献研究による基本的な問題点の整理 空間的相互作用モデルにおける空間単位問題は、1)このモデリングにふさわしい空間単位を定義するアプローチと、2)空間単位の変更に伴う分析結果への影響をみるアプローチ、に大別できる。本研究では、主に後者のアプローチについて検討している。空間的相互作用モデルの説明変数は、主に距離と質量項に分けて考えることができる。それぞれの変数に対するパラメター推定値が、データ定義の変更によって異なってしまう統計学的な説明について検討した結果、1)集計化による誤測定、2)集計化による複数の変数の混交(共線関係)に問題を分解できることが分かった。前者は近年、立地配分モデル研究において注目をあびている空間データの集計化による距離推定誤差と密接な関係があり、後者は、過去に論争となったデータの空間的自己相関と空間的相互作用モデルのパラメター推定の問題と関連している。しかし、両者を関連づけた研究作業は、管見の限り皆無である。 2. GISを利用した実験データの整備 実験的に問題を考えるためのデータ基盤として、第3回京阪神パーソントリップ調査と平成2年度市区町村間人口移動データをとりあげた。数値地図のエラーやパーソントリップの単位が必ずしも行政界と対応しないといった問題から、GISを用いたネットワーク距離の測定は、作業が遅れている。しかし、流動データの切り出し等の基本的作業は終了した。
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