研究概要 |
本研究は住み手のニーズにあった住情報支援システムを整備していくために、高齢者を含む世帯が住宅改善を行う場合を想定し、既存住情報システムの現状と山梨県における高齢者の住宅・住生活実態について検討した。以下は初年度の研究結果の概要である。公的住情報システムの代表例であるHICは情報の更新頻度や利用者ニーズの反映、管理運営等で多くの問題を抱えている。自治体主催の住宅フェアはマンネリ化や出展企業の減少、財政悪化等により開催規模の縮小が検討されている。近年は体験型住情報施設やインターネットの整備に切り替える自治体(福岡県,京都市など)が多い。民間の住情報メディアでは法律や工事中のチェックポイント、業者選び等に関する内容が不足している。次に、甲府市内の高齢者を対象としたアンケート調査の結果を要約すると,以下のようである。l.持家率が高く(94%)、敷地・住宅条件は良好である(平均延床面積139m^2)。2.現住宅の住みごこちに対する満足度は76%と高いが、老朽化や収納不足、車椅子使用不能、手すり未設置等の不満が目立つ。3.現住宅への定住意向は84%と高い。4.住宅改善の実施率は69%で、老朽化や住宅狭小、設備の老朽・陳腐化等が要因となっている。5.改善箇所は水まわり、子ども部屋、屋根等が多い。工事内容は増築、内装の模様替え、インテリアの取り替え、便所・浴室設備の更新、外壁の塗り替え等が多い。6.住宅改善工事の情報源は親戚・友人・知人や大工・工務店等が圧倒的に多い。7.増改築工事の満足度は88%で、住みごこちや住生活の利便性、清潔感の向上等が評価されている。しかし、費用・工期の変更や工事中の住生活への影響等の問題も生じている。8,高齢者対応工事としては、手すり設置や室内の段差解消、緊急通報装置の設置等を望む声が強い。
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