本研究では高齢社会における居住環境の整備や良好な住宅ストック形成には住み手のニーズに合った公正で正確な住情報支援システムの整備が必要との立場から、高齢者を含む世帯が住宅改善を行う場合を想定し、山梨県における高齢者の住宅・住生活実態や住宅改善を支援する自治体住宅施策の現状について検討した。昨年度の研究で得た知見とあわせて、研究成果はインターネットのホームページとして公開した。以下は本年度の研究結果の概要である。1.高齢者は建築時期の古い住宅に居住していることが多く、住宅改善の実施率も高い。住宅改善に必要な情報は大工・工務店及び親戚・友人・知人等のアドバイスから得ている。住宅改善は入居者の家族構成や住宅条件による個別性が高いため、経験者による口コミ情報の活用が多い。今後は住宅改善の体験談を地域で共有し、公共や第3者的機関による評価などを加えた総合的な情報提供システムとしていく必要がある。2.自治体の住宅相談業務ではリフォーム・建替などに関する相談が多く持ち込まれている。高齢者住宅や既存住宅の改善に関する情報発信を予定しているが、具体的方法・内容・効果等は検討段階にある。ホームページへの期待は大きい。3.インターネットを使った高齢者の住宅改善に関する既存のホームページは個別事例や地域に根ざした情報が少なく、情報共有のための手だてが弱い。本研究で試作したホームページではこれらの問題点を改善し、情報の双方向性の確保や利用性を高めるための工夫を行っている。4.本研究では山梨県の高齢者の住生活実態に即した住情報システムをインターネット上に構築することを試みたが、内容の更新や増改築事例の収集方法等について引き続き検討していく必要がある。
|