研究概要 |
今後の構造設計は性能型に移行しつつあり,その際には安全性レベルおよび居住性など各種性能に対して,建築主やユーザーの意志を考慮する設計に変わりつつある。実際に耐震性レベルに関してはすでにメニュー化して,実用化している例も増えつつある。これまでは設計者・技術者が建築基準法の範囲内で定めていたが,今後はユーザーが性能レベルを決定し,その結果に対する自己責任を負うことになろう。 そこで,住宅のユーザーである一般居住者を対象に住宅性能に対する意識を調査した。現状の把握および今後の性能型設計に対する問題点を抽出することが目的である。なお,ユーザーの意識は社会情勢や世論,平成7年に発生した阪神・淡路大震災などの具体的な被害例を機に変動する傾向にある。これらの時系列変化も考慮するためには継続した調査が必要と考え,昨年度までに3回の調査を実施しており,本年度も継続してアンケートを実施した。また今回の調査では以下3つの観点に着目し,6月および12月の2回にわたるアンケート調査を行った。 1) 一般居住者の要求する性能レベルを把握する調査 2) 現状の住宅に発生している不都合とそれに対する意識調査 3) 性能表示に対する意識調査 アンケートは九州在住の一般居住者(既婚者 男女ほぼ半数ずつ)を対象として実施し,6月の有効回答数は約100件,12月は約150件である。 アンケート調査の実施にあたっては,調査方法による不確実性を出来る限り排除するため,同様め設問における回答の一致度合を把握し,信頼度を考慮して解析した。 今年度の結果の集計・解析および継続したアンケート調査の実施については平成11年度にも継続して行う。
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