1.プラズマローゲン摂取によるラット臓器の被酸化性 プラズマローゲンリン脂質(PLO)を高濃度で含有するモミジガイリン脂質をラットに4週間摂取させ、脂質代謝に関与する肝臓、酸素消費が激しい心臓および脳の脂質成分への影響を調べた。大豆トリグリセリドを給餌したラットを対照群として用いた。 PLO給餌群の心臓のPLO含量は対照群に比べて有意に上昇したが、他の臓器のPLO含量は対照群とPLO給餌群の間に有意な差を認めなかった。対照群およびPLO給餌群の各臓器中の脂肪酸組成に大きな差は認められなかった。各臓器のα-トコフェロール量および非タンパク態チオール基量は対照群とPLO給餌群の間に有意な差を認めなかった。肝臓および脳の脂質の酸化抵抗性は、対照群とPLO給餌群の間に差は認められなかったが、PLO給餌群の心臓の酸化抵抗性は対照群に比べて上昇した。 PLOの摂取によって心臓のPLO含量が増加することが明らかになった。PLOの摂取は心臓の抗酸化性成分や脂肪酸組成に影響を及ぼすものではなかったが、心臓の酸化ストレスに対する抵抗性が増加したことからPLOが抗酸化的に働いている可能性が示唆された。 2.PLO含有リポソームの酸化安定性 1-アルケニル-2-パルミトイルホスファチジルコリンPLOを10%添加した卵黄ホスファチジルコリンの1枚膜リポソームに銅イオンを加えて脂質過酸化反応を引き起こしたところ、加えない場合に比べて初期反応における脂質過酸化物の生成が抑制された。一方、水溶性ラジカル発生剤による1枚膜リポソームの脂質過酸化反応に対してPLOは抑制効果を示さなかった。
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