1. 女子大生(18才)において、血液中のβ-ラクトグロブリン(β-LG)に対するIgGの高い学生ではなんらかのアレルギー症状を有していることが示された。対象者数が少ないためか、また対象者の年齢がアレルギーを多く発症するとされている乳幼児期より離れてしまっているためか、アレルギー症状と乳児期の母乳、人工乳の摂取状況、現在の牛乳ならびに牛乳加工品などの摂取状況についてのアンケートによる回答との関連性については、不明であった。今後、さらに対象者を増やし続けて調査をおこなうとともに年齢の低いヒトを対象に同様の調査を行う予定である。 2. BALB/Cマウスにおいて(1)β-LGに対するIgGならびにIgGサブクラス抗体価:胎児期よりβ-LGを母体をとおして摂取した群(p-0)では、β-LGを含まない飼料MFを摂取した群(control)に比し、生後3週齢ですでに有意に高く、その後6週齢ではcontrolと同様の低値を示した。離乳期前(生後3週齢)、離乳直後(生後5週齢)よりβ-LGを摂取した(p-3)(p-5)群では、それぞれ生後6週齢、8週齢より上昇を示し、生後17週齢ではどちらもcontrolと同様の値まで下降した。β-LGを摂取したいずれの群においても時期はずれるものの、生後17週齢までにβ-LGに対するトレランスが誘導されることが示された。(2)脾臓細胞のβ-LGに対する反応:p-0、p-3、p-5で生後5週目にβ-LGを腹腔に投与し、6週目に解剖した群(p-0-ip)(p-3-ip)(p-5-ip)では、controlで生後5週目にβ-LGを腹腔に投与し、6週目に解剖した群(control-ip)に比べて、有意に低値を示した。血液中のβ-LGに対するIgGならびにIgGサブクラス抗体価がまだ下がらない時期よりトレランスの誘導のメカニズムは働きはじめていることが示唆された。
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