研究概要 |
1.女子学生(18〜20才)において、人工乳を生後すぐまたは3ヶ月までに開始した群に比し、人工乳ならびに牛乳を含む離乳食を生後8〜11ヶ月に開始した群ではβ-LGに対するIgE抗体価が有意に高値であり、また人工乳ならびに牛乳を含む離乳食を生後1年以降に開始した群ではβ-LGに対するIgGとIgG_4抗体価が有意に高値であった。また、母乳のみまたは母乳と人工乳の両方を摂取してきた人の中で、牛乳またはその加工品を食べた後にアレルギー症状をおこしたことの有無と母親の妊娠中の牛乳またはその加工品の摂取量との関連性を検討した。その結果、母親が妊娠中牛乳を1日1本以上摂取していた人は、今までに牛乳またはその加工品を食べた後にアレルギー症状をおこしたことのある割合が高かった。2.BALB/Cマウスにおいて(1)脾臓細胞のβ-LGに対する反応:胎児期(p0)、生後3週令(離乳開始前)(p3)、生後5週令(離乳開始時期)(p5)のそれぞれの時期よりβ-LGを摂取し生後5週令にβ-LGを腹腔に投与し、6週令に解剖した群(p0-ip)(p3-ip)(p5-ip)では、controlで生後5週目にβ-LGを腹腔に投与し、6週目に解剖した群(control-ip)に比べて、有意に低値を示した。血液中のβ-LGに対するIgGならびにIgGサブクラス抗体価がまだ下がらない時期よりトレランスの誘導のメカニズムは働きはじめていることが示唆された。(2)6週令におけるβ-LGに対するIgE抗体価:p0-ip,p5-ipでcontrolに比べ有意に低い値を示し、IgE抗体価については、胎児期あるいは生後5週令よりβ-LGを摂取することでトレランスの誘導がおこなわれていることが示唆された。
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