骨粗鬆症予防の一対策として、20歳〜30歳代にかけて最大に達する骨量をできるだけ早期(成長発育期)から高めておくことが重要である。しかし、咋年度の検討から、若年女性の栄養素等摂取状況はほとんどの栄養素で充足されておらず、とくにカルシウム・鉄の極端な不足が認められた。また、対象者の活動量が少ない傾向であることが示され、さらに食習慣等に関する意識も低い傾向にあることが示された。一方、骨量においては同年齢の基準骨量値とほぼ同レベルであった。このことは、カルシウム摂取が極端に不足していることから考えて、この年代においては基準値が低い可能性も考えられた。そこで、本年度は対象者を増やし、若年女性の骨量基準値、および食生活を中心とした生活習慣の実態をさらに明確にするとともに、骨量と食生活等の関連性について検討した。 その結果、対象者の骨量平均値は同年代の基準値と同レベルであるが、栄養素等充足率は脂肪を除くほとんどの栄養素において不足していることが確認された。なお、初回測定後に結果返却時に栄養指導を実施し、その約1年後に食生活等の追跡調査を実施し得た対象者(初回者の9割)においては、エネルギー・タンパク質充足率は5%程度の改善が認められた。さらに、カルシウム充足率においては約10%改善され73%の充足となり、若年女性においても骨量測定と合わせて栄養指導を行うことは、食生活等の改善に有用であることが示唆された。しかし、骨量と食生活等の関連は明らかにはならなかった。このことは、対象者の栄養摂取状況や食生活に対する意識の結果に示されるように、対象者の食生活が全体的に乱れていること等が関係していると思われる。
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