1、 加齢によって生ずる基礎体力の低下と生活活動ならびに食事との関係を明らかにするために、夏季と冬季において高齢者の生活活動パターンと食行動を分析し、比較検討を行うことを目的とした。運動習慣のある健康な高齢者7名について、身長、体重、体脂肪率(インピーダンス)、BMI(ボデイマスインデックス)、血圧、最大酸素摂取量などの身体状況に関する項目の測定および調査を行った。さらに、日常3日間の生活時間調査と食事調査、万歩計による歩行数の調査を行った。冬季の調査からは、運動習慣のある高齢者においては、年齢に関係なく、エネルギーおよびほとんどの栄養素の充足率が高く、特に、蛋白質、脂質、食塩はかなり過剰の傾向にあった。また、生活時間調査からは、全体的に起床時間と就寝時間は早く、生活活動パターンは規削正しく、3日間の変化は少なかった。このグループでは身体状況は比較的食事調査の結果を反映していることが伺えた。今後、被験者を増やして、夏季および冬季に同様の調査を実施する予定である。 2、 生活活動パターンと食行動との関連性を明らかにして行くために、モデル実験としてラットを用いて、1日の活動のリズムの中枢である視交差上核が食行動にも関係があるかどうかを検討した。その結果、視交差上核の神経伝達物質が栄養素の摂取量に関連していることを証明し、光の同調機構とも関連があることを示唆した。そこで、今後は高齢者の夏季および冬季における生活習慣や生活活動パターンと朝、昼、夜の食事量ならびに栄養摂取量との関係について、詳しく検討して行きたい。
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