1、健康な高齢者の生活活動パターンと食行動の実態を把握し、身体状況や体力との関連性について明らかにするために調査を行った。日常生活を自由に営む健康な60歳以上の男性について身長、体重、体脂肪率、BMI(ボディマスインデックス)、血圧、最大酸素摂取量などの身体状況に関する項目の測定を行った。また、夏季と冬季に3日間の生活時間調査と食事調査を行った。運動習慣のある高齢者においては、年齢に関係なく、エネルギーおよびほとんどの栄養素の充足率(%)が高い傾向にあった。高齢者の生活活動状況や身体状況、体力、食事については個人差が大きいが、個人内では、生活活動パターンは規則正しく、食事内容やスタイルに繰り返しがみられた。さらに、身体状況は比較的食事調査の結果を反映していることが伺えた。今後、充足率を算出するにあたって基準とする値について再検討すること、夏季および冬季のデータについて統計処理を含めた詳しい分析を行って比較検討することを予定している。 2、ところで、生活活動パターンと食行動の関係を明らかにして行くために、モデル実験としてラットを用いて、1日の活動リズムの中枢である視交差上核が1日の食行動のパターンに関係があるかどうかを調べた。そして、視交差上核の神経伝達物質であるニューロペプタイドYの濃度が糖質の摂食量の変化にも関連していることを証明した。そこで、生活活動のリズムが食行動に影響していることが推測され、高齢者の生活活動のリズムが1日の食行動のパターンにどのように影響しているのかについても、朝、昼、夜の食事量や栄養素の摂取量を分析して明らかにして行く予定である。
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