研究概要 |
研究初年度である平成11年度には,数学的推論の理解を促進するための課題構成法(目標分析,教材構成法)と,方法論・技術の他領域への適用による適用可能性判断,という2つの方向で研究を遂行した。 1. 数学的推論の理解を促進する課題構成法 初等代数(中学校1〜2年次)を対象として,課題の収集・分析を行った。研究は,データベース作成からボトムアップに作業を進める目標分析法と,数学的推論を促進するための教材構成法との2つを平行して進めた。 (1) 目標分析法:全271問からなる問題をデータベース化し,その問題解決過程の分析を進めた。分析は,質的研究法で用いられている技術を,数学の問題解決に適用するという方法によった。その結果,8タイプの問題に分類され,それらから文字式の論証において必要な推論(同類項関係の推論)を抽出することができた。 (2) 教材構成法:生徒の実態調査に基づき,特に立式過程での数学的推論を促進するための条件を大学生を対象として調査を行った。その結果,部分的に有効であると思われる条件が見出されたが,全般的に有効であるという結果は得られなかった。今後,目標分析の結果と統合してさらに検討を進める。 2. 方法論の教育実践への適用可能性 学校数学を題材とすると同時に,質的研究法で用いられている技術を,学校数学以外の分野に適用する試みとして,児童のコンピュータ操作のための指導技能を明らかにする試みを行った。適用した結果,見出された結論(指導方略や,その概念化)は,他の現職教員と共有できるレベルのものであり,数学教育や科学教育への適用可能性が高いことが確認された。
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