高校化学を対象とするシステムの拡張(次頁の研究発表3、4番目に示す) 本研究の第一期(昨年度)までに構築したプロトタイプシステムをベースとして、教示型システム的振舞い(事項の説明、演習問題の出題と評価など)と環境型システム的振舞い(計算機内の仮想的化学実験環境)を伴せ持つシステムを再設計した。学習者モデルについては、知識の未習/既習を記録する従来の長期的学習者モデルに、対話状況を保持する短期的学習者モデルを加える必要があるという知見を得た。またこの学習者モデルを参照してシステムの振舞いを制御する戦略を設計した。特にこの戦略において、システムからの説明中に学習者が実験操作を行うことを望んだ場合など、システム主導型の教育に対する学習者からの割り込みに対処することが可能となった。以上の成果に基づいて拡張システムを実装し、教示型システムと環境型システムを学習者の状態に応じて協調的に動作させうることを確認した。またこの拡張システムの実装にともない、教材知識ベースの拡充、教育戦略の拡充、ユーザインタフェースの拡充を行った。 他領既への応用(研究発表1、2番目に示す) 教示型システムと環境型システムの統合に関する研究の発展として、初等プログラミングを題材とする検討を開始した。具体的には、プログラムコードから説明文を自動生成して教示するシステムと、プログラミング環境において教師の与えた判定基準に基づいて学生のプログラムを評価するシステムを構築した。これらのシステムについても、上記の成果を踏まえて将来的に統合を試みる予定である。
|