研究概要 |
マルチメディアやインターネットが学校教育現場に導入されつつある。そして,それを活かす教育実践が設計・実施されている。しかしながら,その評価を詳細におこなった研究は皆無に近い。本研究は,マルチメディアを活用した授業を実践している学級(小学校6年)を1年間追跡し,それを評価することを試みた。 評価の視点として,今年度は,マルチメディアに関するイメージを設定した。データベース,WWW,電子メール,テレビ会議システムなどを活用することで,子どもたちのマルチメディアイメージがいかなる変容をみせるのか,を明らかにすることを試みたのである。そのために,「メタファ法」を採用した質問紙調査を作成し,子どもたちに5回(4月から3月まで)それに回答してもらった。 同時に,比較対象のため,子どもたちにテレビに関するメタファも問うた。さらに,比較対照群を準備して,マルチメディア活用経験の少ない子どもたちのメタファも把握し,対象としたマルチメディア活用経験の豊富な学級と,それを比較した。 分析の結果,活用経験の増加によって,子どもたちはマルチメディアを主体的な「道具1としてイメージするようになる,しかしながら他者との「コミュニケーションの手段」,とりわけ「共同作業の舞台」としてのイメージは簡単には構築されない,ということが明らかになった。また,テレビに比べて,そして対照群に比べて,子どもたちはマルチメディアを「道具」としてイメージしやすいこと,も明らかになった。
|