研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害生徒を対象とする数学指導におけるテクノロジー活用の効果を分析し,テクノロジーを活用した指導法の試案を作成することである.そのために平成10年度は(1)聴覚障害生徒による数学的意味の構成に伴う困難性の記述方法の開発,と(2)記述された過程に伴う困難性の分析方法の開発,及び(3)困難性の克服を支援するためのテクノロジー活用による指導法の開発,に取り組んできた. 目標(1),(2)については,数学的概念の構造的意味の構成に伴う困難性に着目し,その記述方法と分析方法を検討した.目標(3)については,構造的意味の構成に伴う困難性の克服を支援するために,グラフ電卓をはじめとするテクノロジーを活用した指導法について検討した.特に, Step-by-stepアプローチとVisualizationアプローチという2つのアプローチについて,筑波技術短期大学と宮城県立ろう学校における実践研究を通して検討し,その研究成果の一部は国際会議で報告された. 次年度は(4)開発された指導法の可能性と限界についての実証的検討と,(5)テクノロジー活用による指導法の試案作成 を行うことが課題である.
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