まず、大学生に次のテストを実施した。 (1)TOEFL (2)日本語の多肢選択式長文読解テスト (3)日本語と英語の変形クローズテスト (4)Nation's Vocabulary Level's Test (自作のテストの(2)と(3)については、事前にパイロットテストをして信頼性を確保している)。そのスコアに基づき、以下の読解力の背景を持つ4群の学習者を選び出した。(選別に使ったのは(1)の読解セクションと(2)(3)のスコアである。他のテストは学生の英語力を知るために実施された。) (A)日本語の読解力も英語の読解力も高い (B)日本語の読解力は高いが英語の読解力は低い (C)日本語の読解力は低いが英語の読解力は高い (D)日本語の読解力も英語の読解力も低い ここで、「高い」「低い」は標準得点に基づき+1以上-1以下とする。ただし、個人内で日本語と英語の読解力の差に標準得点2以上の開きがある場合はそれも含める。この基準に該当し、調査に協力してくれた学生17名に、上記テストの中から多肢選択式読解テストと、変形クローズテストを、日英語それぞれの言語で各一題(つまり計4つのテスト)を、シンクアラウドしながら再びといてもらった。その中から各群につき3人の学生のプロトコルを選び、分析した。読解ストラテジーとテストストラテジーをあわせ、計35のストラテジーを同定した。その35を機能別にまとめて、6つ(あるいは異なった観点から8つ)のストラテジーとし、そのストラテジーの使用の違いをグループ間で比較している。現在この分析が進行中である。来年度は、この分析を完了し、学会発表、論文などの形で発表したいと思っている。
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