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1998 年度 実績報告書

小学校美術鑑賞における教材提示メディア及び教材配列の適正化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10780134
研究機関広島大学

研究代表者

三根 和浪  広島大学, 学校教育学部, 講師 (80294495)

キーワード美術鑑賞 / 小学校 / 作品 / メディア / ビデオ / スライド / 印刷物 / 実物
研究概要

調査において得られたデータのうち,SD法を用いて得られた印象評定について,因子分析(主因子法,バリマックス回転)を行い,4因子(第1因子;印象評価性,第2因子;力量性,第3因子;技巧評価,第4因子;活動性とそれぞれ命名)を抽出した。次に,メディア(スライド映像,ビデオ映像,印刷物,実物作品)と作品(絵画,彫刻)を独立変数とし,印象評定の各因子を従属変数として2要因の分散分析を行った。また鑑賞した内容の記述文章総数も分散分析を行った。その結果,次のようなことがわかった。
(1) ビデオ映像を用いて美術鑑賞をした場合,実物作品を用いた場合に比べて作品に対する技巧評価が高く,スライド映像を用いた場合に比べて作品に対する技巧評価が高い傾向があった。
(2) ビデオ映像を用いて美術鑑賞をした場合,記述文章総数は実物作品を提示した場合に比べて少なく,印刷物を提示した場合に比べて少ない傾向があった。
これらの結果から,ビデオ映像で作品を提示した場合は.スライド映像を用いたり実物作品を用いたりして作品提示した場合に比べて,その工学的な特性が児童の鑑賞活動に大きく影響すると推測された。つまり,ズーミングによって作品の全体像を見たり近距離の大写し部分像を見たりすることが可能になることに加え,作品を3次元的にあらゆる方向から鑑賞できるという点である。そのことによって,児童はスライド映像や実物作品を見る時に比べて,より詳細に,また分析的に作品を鑑賞することができるものと思われる。しかしこの特性は,同時に,撮影者が撮影意図によってズーミングやフレーミングを自由に選ぶことと,撮影者の視点によって児童の鑑賞活動が左右されることにつながることを意味している。児童は能動的・主体的に鑑賞をしなくても,ビデオ映像から一方的に分析的な視点を提供してくれることになり,児童にとっていわば受動的な美術鑑賞になりがちである。上記(2)の結果はそれを反映したものであると考えられた。

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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