前回の研究では、小学校に在籍する外国人児童の日本語習得段階によって日本人児童との関係がどのように変化するかについて調べることを目的に、小学校1年生から4年生までの、来日後間もない4人の外国人児童を対象に、日本語の取り出し授業と学校生活の観察を行った。日本語習得については、2人の中国人児童は順調に進んだが、他の2人の日系ブラジル人兄妹は全く不振であった。日本語習得が順調だった2人の児童の日本人児童との人間関係は、来日後半年から1年程度の期間で見ると、良好だった第一段階、悪化した第二段階、そして、その後再び良好に転ずる第三段階の大きく三つの段階に分けられ、これは外国人児童の日本語習得の進度と関連を持つことが示唆された。 今回の研究ではさらに外国人児童の母語力、学習言語との関係について調査を進めている。現在までに、通訳補助と日本語指導が入学後3か月程度行われている地域の小学校に転入学した来日間もない児童から来日4年程度を経過した韓国人・中国人児童の母語語彙力、日本語語彙力、算数力のテストを行った他日本語習得の状況等を調査中である。平成11年度は被調査者の数を増やすとともに、継続的調査を行い、来日時の母語力と日本語語彙力の関係、外国人児童の日本語習得に影響を与える心理的要因について考察する予定である。
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