研究概要 |
本研究では,まず,分散分析のF検定やSN比を検定する問題を考察する際に現れる2重非心F分布のパーセント点の近似式を,Akahira(1995)によって提案された非心t分布のパーセント点に関する高次の近似式や研究代表者が提案した非心カイ2乗分布や非心F分布のパーセント点に対する新しい近似式の考え方を基に,カイ統計量の線形結合による統計量の分布のCormish-Fisher展開によって導出した.そしてこの近似式が数値計算の観点から従来のものよりも精確であることを確認した.この成果を1998年12月2日〜4日の期間フィリピンで開催された3rd Conference on Statistical Computing of the Asian Resional Section ofInternational Association for Statistical Computingで発表した. 次に,非心分布の近似を考察した際に用いたアイディアを応用して,筑波大学の赤平昌文教授との共同研究により,2変量正規分布の相関係数に関する推測に重用される標本相関係数の分布のパーセント点に関する高次の近似式を導出した.またこの近似式についても数値計算により,従来のFisherのZ変換による近似や正規近似による近似式よりもかなり精確であることを確認した.その計算もパーソナルコンピュータレベルのもので簡便であることが特徴である.そしてその成果はJournal of JapanStatistical Society,Vol.28,No.1(1998)に発表された.
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