本研究では、まず、一元配置モデルの分散分析や適合度検定を考察する際に現れるカイ2乗確率変数の重み付き和の統計量について、その分布のパーセント点を研究代表者が提案した非心分布のパーセント点に対する新しい近似式の考え方を基に、カイ統計量の分布のCornish-Fisher展開によって導出した。そしてこの近似式がその精度や形式からも実用的なものであることが確認できた。この成果を2000年3月に京都大学数理解析研究所で開催された研究会や統計数理研究所で開催されたシンポジウムで発表した。またこれらの成果をあげるまでの下地となる研究成果について1999年7月に岡山理科大学で開催された第67回日本統計学会や2000年1月に松山で開催されたシンポジウムで発表を行った。 次に確率分布の発生のメカニズムについて、確率分布の近似を考察した際に用いたアイディアを応用して、東海大学の秋山仁教授との共同研究により、電機やその他動力を用いずに確率分布を発生させる器械を作成し統計教育の教材として汎用できるようにした。これは従来、正規分布のみを発生することができた器材に改良を加えポアソン分布やその他重要な確率分布をそれによって発生することが可能となったものである。そしてその成果は1999年5月30日から6月4日の期間フィリピンで開催された8thSoutheast Asian Conference on Mathematics Educationで発表を行った。
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