研究概要 |
本研究は,形状検索の実現を目的とした完全自動抽出可能な形状特徴量の開発と,その性能評価を行うことを目的とする.平成10年度は,画像特徴量の基本設計を完了し,一画像当たり被写体一つという制約の下で性能評価を行った. くさび形数え上げ法に基づき開発されたこの形状特徴抽出法は,スケールごとに分解されたくさびの数をエッジ画像から直接数え上げ,その数を画像特徴量として用いる.この特徴量は図形中に存在する角や円弧の特徴を反映することができる.角の開き角や円弧の曲率が異なれば,対応するくさび形の開き角や大きさも変化し,それらの違いが特徴量に反映されることになる.実際の数え上げ処理は,エッジ抽出,最大値フィルター,平均値フィルター等の画像処理を組み合わせることにより実現される.この特徴抽出法では,画像中に写っている被写体の抽出を行わずに済ますことができ,結果として形状認識一切無しで形状検索が可能になる. 一つの被写体だけが写真全面に写っているという仮定の下で,くさび形数え上げ法に基づく画像特徴量の検索性能の評価を行った.CD-ROMの形で市販されている画像素材集の中の画像約1万枚を用いて検索実験を行い,検索性能の見積りを行った.最初に,全画像に対して画像特徴量の計算を行い,次いで,画像集の中から選んだ問い合わせ画像に対して類似検索を行った.類似度は特徴空間のユークリッド距離に基づき計算した.実験の結果,良好な検索性能が得られることが確認された.
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