研究概要 |
本研究はSMPクラスタを対象にしたオブジェクト指向並列分散クラスライブラリを設計・構築し,不規則性をもつ大規模並列計算に適用してその有効性を検証することを目的とする.本年度の研究では,不規則性をもつ大規模並列計算の代表的な例として並列分子動力学計算をとりあげ,並列オブジェクト指向クラスライブラリの設計と実装法について検討した.その際,特に以下の点をクラスライブラリ設計における重要な目標とした:(1)単一プロセッサ,SMP計算機,およびSMPクラスタのいずれの環境においても,アプリケーションプログラムを変更することなく実行可能にする.これにより,SMPクラスタ用のプログラムの作成が容易に行なえるようになると期待される.(2)また,アプリケーションプログラマ自身が,クラスコンポーネントの改変を通じて,実行環境に合わせたプログラムの実行効率の最適化を容易に行なえるようにする.このために,我々は,デザインパターン的なアプローチに基づき,アプリケーションプログラマが容易に利用でき且つ容易に変更可能はクラスコンポーネントの仕組を現在開発中である. 現在,予備評価として,この仕組に基づいた並列分子動力学計算用のクラスライブラリを新に設計し,単一プロセッサ上でのシミュレーションによる実験を行なっている.また,SMP型PC上での実験の準備も同時に行なっている.
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