研究概要 |
本研究では,まず,E-LOTOSの時間構文およびいくつかのフロー制御構文を取り入れた時間拡張LOTOSを定義し,時間拡張LOTOSで記述された実時間システムの動作仕様から,等価な同期タイムオートマトン群を導出する方法を提案した(電子情報通信学会英論文誌(A),1999年掲載予定,にて発表).また,この方法に基づいた導出系を作成した.次に,同期タイムオートマトン群の実装法を考案した.複数のタイムオートマトンが並行実行される場合に,各タイムオートマトンのアクションを時間制約どおりに実行できるようにするため,EDF(Earliest Deadline First)スケジューリングを持った実時間スレッド機構を設計,開発した(RTCSA'98にて発表).各タイムオートマトンは一つのスレッドに割り当て実現する.実時間スレッド機構上で,複数スレッドの間にアクションの同期実行が指定されている場合に,複数の時間付ランテブ(同期実行されるアクションの組)間の優先度制御や排他制御を行う機構,各スレッドが指定の時刻までにランデブが実行できる状態に到達するための制御機構などを考案した(DiCoMo'98ワークショップにて発表).さらに.時間拡張しOTOSの持つマルチランデブ機構を利用してシステムを制約指向スタイルで記述することにより,資源の動的な割当てを指定したマルチメディア分敗システムのQoSシナリオなどを容易に記述できること,実装実験により,シナリオに指定した通りのQoS制御を実現できることなどを確認した(DPS'98ワークショップにて発表). 本年度に得られた成果を,IFIPの国際会議FORTE/PSTV'99に投稿した.平成11年度は,引き続き,考案した手法に基づいて時間拡張しOTOSコンパイラの設計開発を行い,より実用的なマルチメディアシステムを記述,実装し,提案手法の有効性を評価する予定である.また,最終結果は,IEEE TransactionやComputer Network and ISDN Systemsなどの英文雑誌に投稿する予定である.
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