本研究では、オブジェクト指向のプログラムの開発管理プロセスを系統的に分析し、支援するための開発管理環境の構築を目的とした。具体的には、オブジェクト指向に基づく開発プロセスを対象として、開発者個人の作業効率の向上を目的とした開発プロセスデータの収集とその分析方法について検討した。先ず、C++のソースコードを対象としたプロダクト評価ツールを開発した。本ツールは以下の3つの機能を持つ。 1. クラス階層図:入力されたC++プログラムのクラス階層を表示する。表示には(a)フレームワークのクラス階層も含めた全体の階層図、(b)新規開発の部分と新規開発のクラスが参照するフレームワークのクラス、およびそれらの先祖クラス、の2者から選択できる。 2. Chidamberらのメトリクスによる複雑度評価:クラス階層図上で、選択したクラスに対してChidamberらの6種のメトリクスの評価結果を表示する。特に、クラス間の参照に関するメトリクスRFCとCBOについては、結合先のクラスを明示する線を引いて表示することが可能である。また、基準値を大きく超えている複雑度を持つクラスには、その旨が表示される。 3.ソースコード中でクラスを定義している部分の表示:クラス階層図でクラスを指定することで、そのクラスを実際に定義しているソースコードを参照することができる。更に、本ツールを実際のC++プログラム開発プロジェクトに適用し、ツールが複雑であると指摘したクラスにフォールトが実際に発見されるかどうかを実験的に評価した。
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