研究概要 |
本年度は,本研究の初期段階として,以下のようなことを行った。 ● DTPの基盤技術の調査,およびその統合管理方式の検討。現在,学術分野においてもPostScript,PDF,XMLなど,電子文書に関する最新技術を用いて論文等の管理を行うことが普及しつつあるが,これらの作成工程は学術分野では必ずしも確立していない.また,これらの電子文書は頻繁に再利用されることが考えられるため,再利用や検索のしやすい工程管理を行う必要がある.このような考察に基づき,構造化文書の標準となりつつあるXMLを基盤として,さまざまなフォーマットや異なるバージョンの電子文書(異種文書)を統合して管理する枠組について研究を行い,各種フォーマットとXMLとの相互変換,XML以外の形式の文書を仮想的にXML文書として扱う方法,文書検索などについて成果を得た.また,DTP技術などの技術について最新技術動向の調査を行った. ● 分散エージェントに基づく知識表現言語の実装.学術分野では,各研究者のDTP環境はOSやDTPソフトの種類やバージョンなどが異なり,異種分散環境と見なすことができる.このような環境下でDTP工程支援を行うためには,各々のサイトの情報を統合して扱う能力を持ち,各種のOS上で動作する言語が不可欠である.この考察に基づき,従来より我々が研究を行っている異種分散知識表現言語QUIKのJava言語による実装を進め,これを用いてDTP工程支援を行うことを考えている.現在,QUIKはJDK1.1.7をベースに実装を行っており,エージェントを用いた異種分散情報源の統合と推論が限定的ながら行えるところまで実装が進んでいる. なお,新規研究内容ではないが,本研究の過程で調査したDTP技術の最新動向や応用方法について,その一部を,1999年3月に行われた第10回データ工学ワークショップ(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会主催)にて講演した.
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