近年、情報・通信技術の急速な発展に伴い、ネットワークを介した仮想コミュニティ、仮想オフィス、仮想キャンパスが次々と現われ、このような仮想空間に入り込んで、仕事したり学習したりすることは現実のものとなりつつ、人と社会全般の活動に新たな変化をもたらしている。一方、知識を人から人へ伝達するための「もの」としてではなく、社会的な相互作用の結果として形成されるものととらえる立場から協調学習の有効性が高く評価されている。本研究は、MOO(Multi user dimension Object-Oriented)と呼ばれるテキスト型仮想現実を用いて、学習者の行動に柔軟に適応する仮想空間のモデルを考案し、仮想空間の系統的な構成法を開発している。また、学習者の能動性を重視した協調学習理論に基づき、仮想大学の基本枠組みを提案し、仮想クラスルームの基本的要件を明らかにしている。さらに、教育・学習において、インターネット上にある豊富な情報資源を活用するために、MOOの仮想環境とWEBサーバの統合を行うとともに、マルチメディアも利用できるようにMOO環境を改善し、専用GUIインタフェースを構築した。また、仮想空間におけるコミュニケーション、インタラクション、コラボレーションを促進する自律的に振る舞い可能なソフトウェアエージェントを試験的に導入し、多様な学習者による協調学習を積極的に支援する。本研究では、プロトタイプシステムを構築し、初歩的な実験評価を行い、従来の実験結果と比較した結果、本研究によって得られる創出的学習効果が期待できる。また、本研究は、協調的な仮想大学の基盤技術として適用できる。
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