研究概要 |
ハードウェア技術の進歩により,数千ないし数万台のCPUを有する超並列計算機が現実のものとなりつつあり,従来では計算量の点で不可能とされてきた大規模な計算や高度な処理が可能になると期待されている.一方,大量のデータを対象に大量の計算を行うような応用においては,データベース管理システムだけでなくアプリケーションプログラム自体も並列に動作することが望ましい.しかし,従来の研究では,超並列アプリケーションプログラムと超並列データベース管理システムとの間でデーターを並列に転送する機構はあまり研究されていない.そこで,本研究では,アプリケーションプログラム自体も超並列計算機上で動作することができるよう,以下のような機能を持つ超並列プログラミング言語の研究を行った. (1) 従来のデータ並列型プログラミング言語と異なり,配列以外のデータ構造に対する並列処理の機能 (2) データベースシステムから検索される実行時まで不定の数のオブジェクトに対する並列処理の機能 (3) データベースシステムに対する処理要求を並列に発する機能 (4) (3)に対する処理結果を並列に受け取り,そのままアプリケーション側の処理を継続する機能 本年度は,配列以外の任意の構造を持ち得るオブジェクト集合に対して並列処現を行う際の処理性能の向上を図るため,実行時にオブジェクトの再配置を行うことによって,負荷の均衡化やプロセッサ間通信の削減を図る機構の研究を行った.代表者らが以前に提案したオブジェクトの外部参照回数を削減する手法の改良案を示し,これが実際に外部参照数の削減に結び付くことを実験により示した.
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