本年度は、多眼ステレオ画像から三次元形状を復元する方法を主に研究した。多眼ステレオ画像とは、多数の視点において撮像された画像を指し、撮像条件のキヤリブレーションを施せば、三次元情報を復元することが原理的に可能なものである。多眼ステレオ画像に対する復元法は、動画像の場合にも拡張して適用できる。 三次元情報を復元するには、画像対におけるピクセルの対応関係を定めることが本質的に必要である。このための手法として様々なステレオマッチング法が知られているが、計算量が莫大になるという難点があった。本研究では、処理をハードウエア化することによって、この問題に対処した。すなわち、三次元レンダリング処理のための専用ハードウエアを用いて、マッチング処理を高速化する方法を提案し、評価した。 本研究では、多眼画像から三次元形状を復元することを目指している。一方、近年注目を集めているImage-basedRenderingでは、画像を貼り合わせるなどして、形状の復元を経ずに、任意の視点における画像を生成する。同一視点に対する画像が複数存在し、かつ互いに重なり合っている場合、それらを張り合わせることによって、より高い解像度の画像を得ることが期待される。本研究の副産物として、こうした解像度向上のための手法を考案し、実現可能であることを確かめた。 本年度の段階では、三次元情報として点集合を復元するまでに止まっている。今後の予定としては、この点集合からより高度な幾何プリミティブ(ポリゴンなど)を導出し、それに基づいて画像を圧縮する。さらに、時系列における相関関係を利用した多眼動画像の圧縮方法へと拡張し、実映像を対象とした実験・評価を行う予定である。
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