研究概要 |
問題環境を制御することによって効果的に学習が進む,進化的学習アルゴリズムの研究を行なってきている.今年度は計画に基づいて以下の2項目を研究した. (1) 手動による問題環境の違いによる進化効率の制御 進化個体の基本オペレーションの抽象度,協同作業を行なう個体数,各世代の生き残り基準などの問題環境を用意し,進化効率を確認する.複数の個体によって一つの作業を行なわせる問題は,一律な生き残り基準が進化を妨げることになり得るため,進化学習の枠組において困難問題である.本研究では,問題環境に依存した基準を与えることで,ある程度の学習効率を得ることに成功した.この研究は,第1,第3の発表論文として発表あるいは発表予定である. ここで研究してきた進化の基準を自動的に制御する問題は,次の項目と合わせて第2年度で研究を進める. (2) 共進化による段階的な問題要求条件の提示法 共進化を用いて問題の環境を制御するために,初年度では共進化の枠組を計算機上で構築し,複数の人工生命的エージェントを互いに競い合わせながら進化させる方法を実現した.この研究は第2の論文として発表予定である.ここでは,共進化の現象は確認しているが,これらがどのように互いの進化に影響しあっているかなどの分析を今後してゆく必要がある.また,進化の安定によって十分な学習効率を得られない問題,一般の問題を扱うことのできるような方法の確立は今後検討しなければならない.
|