研究概要 |
本研究計画の初年度では、以下の2つのアプローチによって研究を進めた. (1) モジュール構造ニューラルネットにおける構造最適化アルゴリズムの開発 (2) ニューラルネットモデルのヘルスモニタリングへの応用 (1) では,所望した機能をもつためにどのようなモジュール構造を持てばよいかを主題にした.本研究では,構造パラメータを遺伝子型,ニューラルネットを表現型とした遺伝的アルゴリズムを用いて実現した.具体的には,モジュール構造ニューラルネットとしてクロス結合ホップフィールドネットを用い,この構造パラメータ(モジュールの個数、モジュールのユニット数、モジュール間の結合トポロジー、相互作用の種類、モジュールの情報処理と相互作用のネットワーク全体に対する貢献度など)を最適化するアルゴリズムの開発を行った.このシステムを連想記憶の設計に応用したところ,引き込み特性をある程度制御することが可能であることを示した.なお,この成果をInternational Conference on Neural Processing 98,Kitakyushuで報告した.また,モジュール数を1とした上で本システムの連想特性を調べた結果をNeural Processing Letters(Kluwer Pub)に投稿し受理された.現在,印刷中である. (2) では,ビルや橋などの構造物の健全度を推定するヘルスモニタリングシステムにニューラルネットを応用した.本年度では構造物の実測値を利用せず,多自由度の運動モデルを用いたシミュレーションデータを利用した.前処理として測定データをウェーブレット変換し,構造物の健全度を出力とした階層型ニューラルネットに入力した.学習の結果,ニューラルネットの出力から構造物の健全度パラメータの劣化を検知できることを示した.この結果をSecond World Conference on Structural Control,Kyotoで発表した.
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