研究概要 |
本研究の目的は,ネットワーク上に分散・蓄積されたデータから必要な情報を抽出し,その中から法則性を発見し,人間が行うときと同程度の知識を獲得することである. 科学技術における実験・観測データのほとんどが数値データであるが,それを直接扱う知識獲得手法に関して,体系的な研究は殆んどなされていない.そこで,主に,数値データからの帰納推論がどのように有効であるかを理論的に解明するための研究を行った. 計算機で扱うことのできる「帰納的実数」を対象にし,様々な数値データに対して,計算機によって学習可能である「帰納的実数値関数」のクラスと不可能なクラスを理論的に明らかにした.その結果,極限同定不可能な,帰納的実数値関数の帰納的に枚挙可能な集合が存在することが解った.これは,帰納的関数全体の帰納的に枚挙可能な部分集合は,極限において無矛盾学習であるという,従来の自然数上の帰納推論について知られている結果とは対照的な結果であった.また,実際に,誤差を含む数値データを入力として要求し,獲得すべき概念としてそのデータを説明する微分方程式を出力するシステムを計算機上で実現させた.今後の課題として,実際問題に対応可能なように,不完全な数値データに対して学習可能な学習モデルを構築する必要がある. データから知識獲得を行なうには,必要なデータが足りない場合が考えられる.その際には,ネットワーク上に分散されているデータから必要な情報を検索・収集する必要がある.そこで,LAN環境でユーザにとって最も効率の良いUNIX計算機を仕事に応じて選択するモバイルエージェントを提案し,コマンド実行という方法による実装を行なった.
|