研究概要 |
1998年度は,調査及び次の3つの基礎的な研究を行い,以下の結果を得た. ・工学的に最も応用範囲が広いと考えられる最適化システムとしての免疫システムのモデル化及び定式化. ・構成モデルの検証のため,シミュレータを計算機上に実装し,データ収集を行った.さらに,遺伝的アルゴリズムとの性能比較から免疫アルゴリズムの性能特性を解析した. ・記憶システムを活用した最適化システムとしてのモデル化及び定式化. 免疫系に学ぶ免疫応答及び自己調節機構を最適化システムとしてモデル化し,構築を行った拡張免疫アルゴリズムの枠組は,遺伝的アルゴリズムと二種類の記憶機構で構成される.拡張免疫アルゴリズムの最適化システムとしての特徴を以下に示す. 一次記憶機構:冗長性の少ない記憶による問題固有の特徴抽出及びその記憶を用いた局所探索能力の向上. 二次記憶機構:再探索の抑制による探索効率の改善. 同アルゴリズムを用いることで,(1)解集団の多様性による大域探索能力を有する遺伝的アルゴリズムの特徴を有し,(2)記憶細胞を活用した局所探索の促進による探索効率の改善,(3)サプレッサー細胞を活用した探索スコープの移動による多峰性関数における最適解探索時の優位性,という免疫系の特徴を有する探索動作を伴った最適化システムを実現した.このことから,拡張免疫アルゴリズムは,類似問題の繰り返し解決を必要とする種々の課題に対して有効に機能すると考えられる.
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