研究概要 |
カオスニューラルネットにおいて,30個のパターンを,1周期あたり6パターンの5周期に分けて記憶させた。このネットワークにシナプス前抑制を用い,カオスを用いた検索(サーチアクセス)を行なった。初期条件を変え,300回の検索を行なったところ,検索成功率は1となり,すべての検索に成功した。 しかし,9割の検索が成功するステップ数は200程度必要であり,最大のステップ数は627ステップ必要であった。同じパターンを用いた他の手法では,9割ほどの成功率であるが,60ステップほどですんでいる。したがって,本手法は,成功率の点では勝っているが,時間の点では劣っている。 そこで,従来は抑制信号にしきい関数を与えていたが,しきい関数のしきい値からある値までの値域に線形部分をつけ加え,徐々に変化するようにすると,検索ステップ数に変化が見られた。線形部分の値域を適切に選べば,最大検索ステップ数は200ステップ程度になった。また,9割りの検索が成功する点はおよそ100ステップであり,他の手法ほどではないが,検索スピードを向上することができた。 また,従来の検索は5つの周期の中から3つの周期のいずれかを検索できれば検索成功となっており,検索ターゲットが多い。そこで,ターゲットを1つの周期とした検索を行なった。特徴として,特定の周期にしか現れない特徴を選ぶことで,全ての周期について,5つの周期の中からその周期を検索することができた。ただし,抑制信号にしきい関数を用いた場合,最大検索ステップ数1300程度となり,時間がかかった。検索ターゲットが減ったため,時間がかかるのはやむを得ないと考える。
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