研究概要 |
感性情報の持つ「主観性」を数理モデルで表現することでさらなる柔軟なモデルを構築することを目的として,[1]感性情報(感情イメージコード)の構築,評価に関する理論の構築,[2]本研究で得られたシミュレーションの結果がどこまで実際の人間の感覚に近づけるか,心理的評価実験の二つを行った.本研究で扱う感性情報は感性語(情緒的な感情を喚起させる語)と数値情報の組み合わせで表現しこれをイメージコードと呼ぶことにする.イメージコードの数値データはベクトル形式で表現しされる.つまり感性語オブジェクトをどのように感性語空間に配置するかという問題に取り組んだ.まずあるカテゴリーについて感性空間を設定する必要がある.この点については分類語粟集を参考にし,いくつかの感性空間とその空間に含まれるオブジェクトを決定する.次にそのオブジェクトについて属性を決定する.属性については,そのオブジェクトについて知覚できるものを採用した.今回は数値データの決定について主成分分析法を用いた.属性を5段階に設定したアンケート結果から各オブジェクトについて関係マトリクスを作成し,主成分分析法をもとにベクトル化を行った.このようにして複数のカテゴリー空間を作成し,結果に対し再度アンケートを求め,この手法の妥当性を検証したところ,被験者の感性をよりよく数値化するためにアンケートの手法を改善しなければならないことが確認された.特にカテゴリーの分類と属性の設定を変えて再実験を行ったところ「よりよく反映している」と応える被験者数が増大した.今後,イメージコードのさらなる最適化について進化的計算アルゴリズムなどの手法なども検討していく必要があると考える.
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