インターネットの普及により、誰もが容易に情報を発信したり、世界中の人々と情報交換をすることが可能となっている。そこで交換される文字情報は使用する母言語の違いやコンピュータの制約のため、英語によるものがほとんどである。一方、文字情報を交換する際には相手が正確に読めなくても英語以外の言語(例えば日本語や中国語)をその中に含めたい場合がある。 そこで本研究では、主にインターネットの電子メールやネットワークニュースにおいて、そこで交換する文字情報を中心としたメッセージを、文字フォントと表示のためのヒントを付与することで、その言語や受け取り手が使用している機器環境に関わらず正常に表示・印刷を可能とするシステムを構築する。 本研究の当初計画における目標としては多言語メッセージの編集環境を整備することも含んでいる。計画段階では多言語テキストの編集環境としては事実上UNIX上のMuleと呼ばれる特定のエディタのみであったが、マイクロソフトのGlobal IMEなどの環境も整いつつあり、多言語メッセージの作成にはこれらのツールを利用することを前提にその調査などを行った。 平成10年度は多言語メッセージの表示用サブシステムと各国語メッセージから多言語メッセージヘの変換サブシステムの構築を行った。前述の調査結果などを踏まえて、平成11年度はこれらのサブシステムを一つのシステムとしてまとめ、受信したメッセージに表示不可能な文字が含まれていた場合にその文字を含めて正しく表示を行うシステムの設計と開発を行った。本システムは多言語電子メールの可読システムとして、インターネット上で広く公開することを前提に、セキュリティや仕様の細部について検討を行い、平成12年度中に発表を行う予定である。
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