本研究の目的は、博物館の展示における実用的なLANの構築を目指じた様々なプロトコルの研究開発である。特別展など短期間で展示用のシステムを立ち上げる必要がある博物館のLANにおいて特に求められることは、アドレスや名前設定などネットワークの各種設定をできるだけ自動化する自動設定の技術と、動画や音声といったリアルタイムデータを扱うためのリアルタイムネットワークの機能である。 自動設定の研究の焦点は二つある。一つはネットワーク層におけるルーティング・アドレスの自動設定のためのプロトコルACRP(Auto-Configurated Routing Protoco1)の開発である。この研究ではルーティング・アドレスというルータを越えたアドレスが自動設定可能になったことが新たなる進展である。もう一つは、さらに上位層において自動設定に対応した名前、アドレスの管理システムの構築である。 博物館LANにおいては、大きなノードと、小さなノードが混在している。大きなノードは動画や音声が保存されており、いろいろな指令に従ってネットワークヘデータを出力する。小さなノードはそれらリアルタイムデータを出力するためのノードであったり、また、観客からの様々な指令をネットワークを通じて大きなノードヘ伝える役割を持ったものである。博物館LANにおいては小さなノードが圧倒的に多いという特徴をうまく生かし、ネットワークのリアルタイム性を最大限に引き出すことのできる物理ネットワークRCL(Realtime ControI LAN)の研究を行った。 1999年度では、ACRPの実装を行うと同時に、RCLのためのコントロール回路のプロトタイプを開発した。RCLの動作は確認されたが、来年度はさらに詳しい評価を行いつつ、本格的なドライバーチップのLSI化を企業との共同研究で試みたいと考えている。
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