研究概要 |
今年度は,2年計画の本研究の初年度であり,当初の予定通り,分散トランザクション処理におけるデータベース移動を考慮した並行処理制御手法,及び,これまでに提案しているトランザクション処理手法とこの並行処理制御手法をベースとする分散データベースシステムについての研究を推進した. 前者の成果として,従来の分散データベースシステムで用いられる2相施錠規約を拡張して,データベースの移動に関する施錠を導入した新たな並行処理手法を考案した.更に,データベース移動時の処理スループットの低下を防ぐために,移動するデータベースに対する操作をサポートするための効果的な手法を考案した. 後者の成果としては,従来の分散データベースシステムに,研究代表者がこれまでに提案したデータベース移動を用いたトランザクション処理機能と,本研究で考案した並行処理制御の機能を拡張したシステムを考案した.考案したシステムの性能を,シミュレーションによって評価し,その有効性を確認した.なお,これらの研究成果を取りまとめたものは,海外の著名な学会の論文誌を始めとする様々な分野でその重要性が見とめられ,高い評価を受けている. また,考案したシステムのプロトタイプシステムの設計を既に終了し,現在,その実装を進めている.研究代表者の所属する研究室の既存のワークステーションとネットワークシステム,及び,今年度交付を受けた研究費によって購入したノートパソコンを用いてシステムを構築することにより,異機種分散環境への適応を考慮している.現時点では,同機種のワークステーション間でのデータベース移動及び分散トランザクション処理の動作確認を既に終え,実測評価のための準備段階に入っている.
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