研究概要 |
多数の計算機を接続した分散システムでは、計算機の台数の増加に伴ない管理作業が大きな負担となる。本研究では,プログラム自らがネットワークを介して計算機間を自律的に移動する「移動型プログラム」を用いて,システム管理作業を支援するツールの開発を目的としている。平成10年度までに、管理支援の枠組の構築と,Java言語を用いた管理支援ツールの試作を行なった。本年度は異機種分散システムで、(1)異機種分散環境における統一的な情報の取扱方法と、(2)移動型プログラムの認証について考察した。 1.異機種分散環境における統一的な管理情報の取扱方法 管理対象となる計算機はWindowsやUNIXなどのように,機種や環境が異なっている。移動型プログラムで分散システムを管理する場合、個々のシステムの管理情報の違いを吸収する必要がある。システム管理情報の枠組を決め、その枠組に基づいて管理用の情報を提供する代理プログラムを各システムで動作させる方法を考案した。これにより、移動型プログラムをデータベースアクセスやWWWデータ検索などの、他の用途への応用の可能性を持つ事ができた。 2.移動型プログラムの認証 移動型プログラムはその構造から、ウィルスやワームのような悪意を持つプログラムとして利用される可能性を持つ。特に管理作業を行なう場合は深刻である。そのため既存の公開暗号鍵方式を用い、移動型プログラムを認証する仕組みを導入した。また実際の人間社会に在る「作業内容と従事者」を模し、移動型プログラムに作業のレベルと、権限を導入した。管理作業に5段階のレベルに持たせ、プログラムのレベルに応じて、閲覧できる情報の制限、更新可能なファイルの制限を行なう仕組みを考察した。
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